家の中の不用品を一掃しようという流れから、祖母の着物を思い切って処分する事になった。
初めて着物買い取り業者に依頼した体験について、あくまで私個人の体験・感想ではあるが残そうと思う。
着物買い取り依頼とその結果
最初に結論を書くと、結局買い取ってもらわずに終わっている。
理由は査定額が安すぎたからだ。はっきり言って、目が点になるレベル。
購入後2・3年の新しく元値が高い着物なら買い取ってもらえると思うが、そんなの当たり前の話だ。
着物が古くとも新しくとも、買い取り業者になんて出さずにオークションなどで自分で売るほうが絶対おすすめ。
依頼から査定までは、少し長くなるが以下のような流れだった。
依頼から来訪・見積もりまで
買い取り依頼した着物の量
着物だけでも30枚以上、その着物に対して必要十分な帯、帯紐、羽織、道行コート、帯揚げ、小物・・・
たとう紙に丁寧に包まれて保管されていた着物たちはかなりのボリュームだった。
ちなみに古いものではあると思う。着物によって差はあるが、少なくとも10年~30年、もっと古いものも混在しているだろう。
箪笥や押し入れから引っ張り出して一つの部屋にまとめてみると、本当に量が多くてびっくりした。新品で買った時の価格に換算するとすごい金額だったろうと思う。
私は着物の目利きは全くできないので価値はわからないが、それでも大島紬や西陣などの名のあるものが散見された。
お金払いの良い祖母のことだ。きっと気に入ったものは高くても気にせず買っていたのだろう。
先ずは買い取り業者を探す
業者は、普通にネットで検索して探した。似たような業者のホームページが多数出てくるので選ぶのが大変なくらいだ。
ちなみに、たまに電話で買い取りできる不用品はないか打診してくる業者があるが、そのようなところはなるべく依頼したくない。呼んでもないのに電話してくる業者は基本的に不愉快である。
買い取り業者にも様々あり、地域に特化したものや着物専門をうたっているところ、
とにかく何でも買い取るのがウリの所など
どれを基準に選べばよいか良くわからなかった。
結局サイトが見やすくて、着物・茶道具を主に買い取っている業者を選んだ。
買い取り実績などを見ていると「不要な着物が〇〇万円になりました!」といった顧客からの感想が載せられている。
サイトにわざわざ掲載された実績をそのまま信用するほど私はお人よしではない。少なくとも祖母のこの着物が〇〇万円になるなどとは思えない。買い取り業者も商売なので、なるべく安く買いたたきたいハズだ。
一体見積もりの結果幾らの値をつけるのか、頼んでみないとわからない。
この業者に電話してみることにした。
当日予約は無理だった
サイトでは電話から1時間後に査定に伺います!と書いてあったが実際には無理だった。
査定依頼が混みあってるようで、時間の希望も合わず結局翌日に来てもらうことになった。
しかし意外にもスムーズで感じの良い電話対応で、こちらの時間変更にも快く対応してもらえた。
これで予約は完了。さてどうなることやら。
一体いくらで買い取ってもらえるのだろう。理想と現実
予約が終われば後は当日を待ち、この着物たちを全て持って帰ってもらうだけ。
部屋もすっきりするだろう。一体〇万円になるのかな?家族で買い取り金額についてあれこれ妄想していた。
理想
私の予想は、せいぜい1万円超えれば良いだろうという読み。
私とは真逆で、30万にはなるでしょう!という者もいた。古くても着物だし、とにかく量がある。良い着物もあるし、最低でも10万はかたい。など話しているのは楽しかった。
現実その1
当日の時間通り、業者の方が来訪してくれた。
電話対応は女性であったが買い取りに来たのは男性。基本的に信用はしているが、万が一のためにこちらは複数人で対応した。
20代のように見え、非常にふくよかでふくよかすぎる男性だった。見積もりの仕事は忙しいし、ストレスもあるのだろう。
よく口が回る人で、話し方からも若さを感じた。丁寧の中にチャラさが見える。でも不快ではない。こちらは高く買い取ってくれさえすればよいのだ。
失礼ながら部屋には上がっていただかず、玄関に腰かけていただきそこで見積もっていただくことに。
ささっと慣れた手つきでたとう紙を開いて次々見てゆく。
最初の2,3枚こそ着物を触って襟元なんかをチェックしていたが、以降はどんどんと驚くほど簡単な検品になっていった。
もはや着物をチェックする時間よりもたとう紙を開け閉めしてる時間のほうが明らかに比重が多い。
古い着物だ。シミができているものもある。
大島だろうがなんだろうが、ここに積まれた着物に価値はない。と無言のうちに伝わってくる。
現実その2
そのうちに業者の彼が口にしたのは、貴金属の買い取りについてだった。
ご丁寧に買い取り金額の表を見せてくださり、「おもちゃみたいな指輪でも金が含まれてる場合が多いから高額で買い取れる」「ちょっとぱぱっと探してみていただけると嬉しい」「この前も〇万で指輪を買い取った」
などとにかく貴金属の買い取りをしたがる。
こちとら着物の価格でもやもやしているのだ。それについでに売りたい貴金属など無い。
その後も、「今なら貴金属が高く買い取れる」といった話をさも検品のついでかのように話されうんざりしてしまった。
人の好い方ならちょっと指輪を探してあげることもあるだろう。しかし私は探す気がないのだ。
これでは頼んでもないのに電話で不用品買い取りを勧めてくる業者と同じではないか。
たまたま見つけたこちらの記事にかかれている「押し買い」がまさにこれに当てはまる!と気づいてびっくりした。
やはりこいう手口が実際にあって、しかも押し買いなどというネーミングまであったなんて。
私の場合は脅されるようなことはありませんでしたが、やはり見ず知らずの他人を家にあげるのは心配でしかないと改めて思った。
現実その3 査定金額
そのうちに彼の手が止まり、結論を述べた。まだ検品は半分も終わっていない。
「今までチェックしたものを踏まえて、残りの物も全て同じようなものだとすると
恐らく全部合わせて500円くらいの価格になります。多くても1000円か・・・」
申し訳なさそうにそう言われた。
確かに残りの着物も同じようなものである。細かい着物の違いはこちらには分からない。
500円。驚愕の値段と言っても良いと思う。
要するに買い取る気が無い、といういうことだろう。ご丁寧にも他の業者を紹介されてしまった。
こちらも気が抜けてばかばかしくなってしまい、買い取りは結構です。ありがとうございました。とお引き取りいただいた。
彼は快く帰っていった。
要するに、買い取り市場での古着物の価値はそういうものなのだろう。
どのような着物が高く買い取られるのか
単純に経年が浅く、質の良いものは高く買い取れるようだ。
そりゃそうだろうと言いたくなる。
古くても、高く買い取ります!!と御社のサイトに書かれてたんですけど・・・というのは野暮な話なのだろう。
着物買い取り業者とは
上にも書いたように、業者の彼はしきりに貴金属の買い取りを推してきた。
彼の貴金属の話を聞きながら、入口は着物だろうが茶道具だろうが、要するに最終的には貴金属を買い取りたいのだな、この人は。と思った。
私には分からないが、貴金属の買い取りはオイシイのだろう。それに着物や茶道具を不用品として出すような家なら多少の古い貴金属が眠っていても不思議ではない。
着物買い取り業者とは、要は貴金属買い取り業者なのだ。古い着物など、最初から目当てにしていないのだ。
私は今回のことからそう結論付けた。
別にそれが悪いわけではないが、こちらのニーズとはあってないのでもう利用しないだろう。
さて古い着物をどう処分するか
大量に残されたままになった着物をさてどうするか。
500円との査定に少なからず腹を立てた私は自分でさばくことにした。ヤフーオークションである。自分で売れば、絶対もっと高くなるはずだ。
結果、着物類だけでざっくり3万円以上になった。ついでにオークションで売り始めたその他の不用品も全て併せて80万以上のお金になった。
そういう意味では安い買い取り価格を提示してくれた業者さんに感謝すべきか。
ヤフーオークションについてはまた改めて記事にしていきたい。